ママが仲人してくれる噂の婚活スナック「aeru」に潜入してみた

2014.11.07 

IMGP6802

その日、私は新しい靴をおろした。黒いベロアの10センチヒール。年始のセールで買ったその靴は、来たる日のために箱の中でおとなしく待機していたのだけれど、待てど暮らせどそんな機会は訪れず、気がついたら1年が経とうとしていた。

aeru用画像

まだ履きなれない靴で私が向かった先は、東京・新橋にあるスナック「aeru」。ママが1人で営む同店は、昔ながらの仲人スタイルで客同士を引き合わせる「婚活スナック」として話題を呼んでいるらしい。仕事半分、興味半分、そしてほんの少しの「期待」を胸に店を訪ねてみた。

90分飲み放題で2,700円は安い。けれど……

IMGP6805

店はいわゆる飲み屋街といった路地裏の一角にある。照明を落とした小さな空間には、すでに30代くらいの女性客が2人、熱心に男性会員のプロフィールをめくっていた。

「初めまして? 何かご覧になっていらしたの?」とママ。

「あ、友人に教えてもらいまして……」と私。

ママによると、実際に男性会員を紹介してもらうには基本料金の2,700円(男性3,000円)と別に登録料5,400円を支払う必要があるという。なるほど、タダでは会わせまへんで、ということか。とはいえ、晴れてカップルになっても結婚相談所のように数十万の成婚料が発生することはないので、初回の8,100円は考え方次第では安いのかも。

相手への希望ににじみ出る過去の恋愛

aeru用画像2

「どうします? あなた20代だからきっと問い合わせが来ると思うわ」とママ。
今思えばこれはママの決めゼリフなのだろうが、そのときは何も疑うことなく、気がつけばペンを握っていた。8,100円はサバゲーの参加費とでも考えればいい、ここは戦場なのだから、なんて考えつつ。

「他の人のものを参考にしてね」と渡されたプロフィール本をめくると、男女ともに20代から50代まで、職業もさまざま。なかには代表取締役の肩書きまで……。実に幅広い会員層が掲載されている。
氏名欄はなく、あるのは生年月日や身長、年収など、そして相手への希望欄。
相手への希望欄には「たばこの吸わない人」「趣味の合う人」など当たり障りのないものが目立つ一方、中にはニッチな希望を持つ人もいるようで「うお座の方はご遠慮ください」と、まるでうお座の男に親でも殺されたのかと思わせる文言も見かけた。

記入したプロフィールはママにより添削される。
私は過去付き合った饒舌な男のことを思い出しつつ「しゃべりすぎない人」「程よい距離感を保てる人」と記したのだが、それを見た“赤ペン先生”が「こういうのは個人の判断だし難しいわ」と一言。なるほど、ごもっともである。

本音をいえば「長身」も付け加えたいところだったが、自分は貧乳のくせにとツッコまれてはひとたまりもないので自粛したのであった。

「この人に会いたい!」から実際に会うまで

顔合わせに至るまでには数段階のステップがあるらしい。たとえば、女性会員アヤ(仮)のプロフィールや写真を見た男性会員タカシ(仮)がアヤに会いたい場合。
まず、タカシはママにアヤへの顔合わせ希望を伝える。次に、ママはアヤにタカシ(年齢・職業・メッセージのみ)から顔合わせ希望があったことをメールで伝える。

ここからが肝。店側がスケジュール調整し、お互いの都合のよい日に店で顔合わせをするのかと思いきや、実はアヤが来店してタカシのプロフィールや写真を確認し、顔合わせ希望を受けるか否かママに伝えることが必要なのだ。

アヤがOKした場合、後日タカシとアヤは晴れて店で顔合わせを果たすことができる……とまあこういう流れなものだから、忙しい者同士だと実際に会うまで数ヵ月かかることもあるそう。

多くの人にとってネックなのは、自分との顔合わせを希望した人物のプロフィールを確認するためには店へ足を運び、基本料金を払う必要がある点だろうか。
ママ、お商売が上手ですなあ、などとヤボな気持ちが顔に出たのだろう。「まあ、何件かまとめてから来店するのもいいわよね」だそうで。

同世代の男性にオファー

さてどの殿方にオファーを出そう、と目を皿にして400人近いプロフィールを拝見したが、いざとなると年齢、身長、年収などの数字に惑わされ、なかなか視点が定まらない。
自分が普段、どれだけあいまいかつぜいたくな基準で異性を判断していたのかがよくわかる。そんな中見つけたのは、同世代の放送作家の男性。実際に写真を見せてもらうと、黒髪・短髪・メガネという好青年っぷり。少しばかりときめきつつ、申込みをする私。

先方からOKがあれば晴れて顔合わせとなるが、それがいつになるかは分からない。
もしかしたらこの記事が掲載されている頃には私は放送作家の彼氏と付き合っているかもしれないのだ。さらに他の男性会員からも顔合わせ希望がくる可能性もある。わざわざベロアのヒールをおろした価値があることを期待しているが、もしも何もリアクションがないようだったら、そのときは実家を猫カフェに改造して細々食っていく計画でも進めようと思う。

SNSの普及で出会いの手段はいろいろ増えているが、こうした古典的な出会い方が功を奏すことを願っている。

店舗情報

スナック「aeru」
住所:東京都港区新橋3-9-4
営業時間:18:00~24:00(月曜日~金曜日)
定休日:日曜日、祝日。(土曜日は予約制のイベント・貸切営業)
料金など詳細はこちら

恋愛カテゴリーその他のおすすめ記事

皆さんがした、または、したいと思った、『復讐』を、教えてください♪

リア充自慢はもうたくさん! 「SNS疲れ」の傾向と対策

彼氏から「お前、鼻の整形でもしろ」

私って、このままずっとひとりなの?